Guinga & Mônica Salmaso 来日公演を振り返って

GWに入ってようやくゆっくり時間が取れる!ということで、

2週間以上も経ってしまったけれど、感動を忘れないように。

 

この時期はジョニ・ミッチェルの曲の世界に(4/19がトリビュートLiveということでその準備で)どっぷり入り込んでいたので、あまり人と話せる状態ではなく(笑)、お会いした沢山の方々ともほんのご挨拶程度になってしまい失礼してしまいましたが、ようやくゆっくり振り返れます。。

 

4月10日水曜日。現代ブラジル音楽を代表する素晴らしいギタリスト/作曲家のGuinga(ギンガ)と、ブラジル音楽という枠を超えて素晴らしく稀有な唄い手、Mônica Salmaso(モニカ・サウマーゾ)の来日公演@練馬文化センターへ行ってきました。

 

ギンガもモニカも、ブラジル音楽を好きになり始めた頃からその名前は知っていましたし、特にモニカは17年程前に"Afro-Sambas"というPaulo BellinatiとのDuoアルバムを聴いて、それ以来ずっと気になる存在でした。一昨年、渡辺貞夫さんのLiveで初来日した際にその深い声と素晴らしい唄心&ミュージシャンシップに触れて、感動したものです。そして今回は念願の、ギンガとの来日!とっても楽しみにしていました。

 

公演はもう、1曲目から鳥肌。今回はテコ・カルドーゾ(sax/flutes)とナイロール・プロヴェッタ(clarinet/soprano sax)という管楽器の素晴らしいお二人を引き連れてのクアルテート編成。曲によって楽器も組合せも変えて、あくまで楽曲の詩情に寄り添ったお二人の演奏&掛け合いも勿論素晴らしかったのだけど、やはりモニカの唄心とギンガの楽曲&ギターの素晴らしさ&その声!モニカもさることながら、私はギンガの唄声が本当に好きで、今回その生声を聴くのを楽しみにしていたので、本当に嬉しかった。けれど、もっともっと彼の弾き語りや唄声を聴きたかった!というのが正直なところです。それでも、ギンガとモニカの声のハーモニーはもう、何と形容してよいかわからないぐらい感動。。

 

4人のアンサンブル、というのが本当に次元の違う素晴らしさで。技術はもう最高峰に素晴らしい人たちが、技術ではない次元で、音楽を表現していて。過度に情感を出さずに、とても上品で穏やかで深い音楽、でした。抽象的な表現だけれど、音が、前に出ているというより、天に向かっている感じ。特にモニカの唄は、憂いと母性を含んでいて、とても自然な祈りのようで。室内楽のようなクラシカルな表情を湛えながら、ギンガという何処にもない音楽。だけれども、彼の音楽には脈々と続く普遍的な"音楽"のエッセンスがとても豊かに散りばめられている気がします。モニカは前回もそうだったけれど、今回も曲によってパンデイロやトライアングルなどの小物パーカッションを、抜群のリズム感で駆使しながら唄っていたのにも感激。思わずトライアングルを買おうかと思ってしまったぐらい、笑。

 

とにかく、ギンガというブラジル音楽の奥深さを目の当たりにした夢のような時間でした。モニカは完璧に近い技術を持ちながら、あくまで詞と旋律を大切に唄う人。そしてあんなに楽曲や詞の世界、アンサンブルに溶け込むことに徹して、いい意味で"無私"な感じで唄う人が、何のために唄うのかと問われたら「自分のため」と答えているのがまた凄いと思います(雑誌ラティーナの過去のインタビューで)。楽曲と詞の世界、美しい旋律とハーモニーを伝えられるintérprete。レベルは違えど、私もそうありたいものです。

 

ギンガのアルバムでは特に2015年の"Porto da Madama"という唄もののアルバムや"Noturno Copacabana"、"Delírio Carioca"、それからFrancis HimeとのDuo共演盤などが好きでしたが、昨年の春あたりから自分でもLiveで時々唄うようになって、唄い手としてもますますその深みにはまる一方。次のLiveでも、その次のLiveでも、唄っていく予定です。そして、「遠くで聴いていられれば幸せ」と思っていたギンガやモニカのこと、今回の公演を聴いて、やっぱり沢山お話ししたい!と思ってしまいました。きっとまた来てくれると信じて。今度はお二人のDuoというシンプルで極上な世界も聴いてみたいし、ギンガの弾き語り/ギターソロを生音で聴いてみたい!という気もします。クラウドファンディングで出来上がる今回レコーディングのCDも楽しみだけれど、次回来日をまた楽しみに♪