シコ・ブアルキの曲 - 男心と女心-

9月ももう半ば!あっという間に秋ですね。

 

今日は10/8Liveに向けて、シコ・ブアルキの曲について少し触れてみます。

 

「シコ・ブアルキの曲」と言っても、彼が唄っている曲は、作詞はほぼ彼自身の手によるものですが、曲については彼自身の作曲のほかにEdu LoboやAntonio Carlos Jobim, Francis Himeなどの名作曲家の曲、そしてCristovao Bastos(piano)やLuiz Claudio Ramos(guitar)といった、彼の演奏のパートナーが書いた曲などもあり、それらの曲と、小説家でもある彼の物語のような歌詞とのコラボレーションが絶妙に素晴らしいのです。

 

今回のLiveでも、そういった素晴らしい作曲家とのコラボレーション作品を多く取り挙げたいと思っています。

「Canta Chico -シコ・ブアルキを唄う」=「シコ・ブアルキの物語を唄う」と言ってもいいかもしれません。

 

Poeta=詩人、ともいわれるシコですが、意外にも詞が先に出来るというよりは、まず曲があって、そこで初めて詞をつけることが殆どだそうです(映画「ブラジル音楽ほど素敵な歌詞はない」より)。先日特集したギタリスト/作曲家のGuingaにとってもシコが憧れの人で、シコに詞を依頼して長い間待たされた曲も幾つかあるとか。。そしてアントニオ・カルロス・ジョビンやシヴーカの曲では、最初はインストゥルメンタルの曲として書かれたものが、何年か後になってシコによって詞がつけられ、物語が出来上がった、という楽曲もあるようです。盟友、エドゥ・ロボやフランシス・ハイミとの曲も多く、それぞれ素晴らしい曲が沢山!(私もまだ解釈しきれていないものが沢山あり、研究中です。それが楽しみでもあるのですが・・)

 

そして今日の本題、「男心と女心」。歌詞を唄う時は、曲によってもともと男性の気持ちで書かれていたり、女性の気持ちで書かれていたり、どちらでもなかったり、色々あるのですが、シコ・ブアルキは男性であるにもかかわらず割と沢山の曲で、「女心」も描いています。中には、「これ本当に男性が書いたの?」と思うぐらい繊細な女心まで・・。

 

私の場合は、昔は「男心」の歌詞をわざわざ女性の気持ちに変換したり、歌詞を一部変えてまで女性主語に置き換えようとしたりしたこともありますが、基本的に今はそのまま唄うようにしています。一つには、「人様が作った曲をそんな簡単に自分本位に変えられない!作者の意図を尊重したい」という思いもありますが、唄はそもそも主観的な自分だけのものではないので、「唄を自分に寄せる」というよりは、「自分が唄に入る」、という意識に変わってきているから、かもしれません。

 

今回のLiveで演奏予定の曲をザッとみても、いわゆる「男心」と「女心」はほぼ半々ぐらい。そして「どちらの性でもない」意識で唄うものも、何曲かあります(これは特に恋愛の唄ではないことが多いです)。とはいえ、いつもどちらの性の意識で唄うかというのは、楽曲と向き合った時に自然に出てくる「感じ」にそのまま従うことが殆どです。これはシコの曲に限ったことでも、ブラジル音楽に限ったことでもなく・・。基本的には、曲が何を言いたいか、を大切にしようと思っています。

 

ただ、普通はこんなふうに一人のアーティストで明らかに「男心」と「女心」が分かれてヴァリエーションがある人って、あまりいないと思うのです。それはやっぱり、シコが小説家でもあり、物語を紡ぐ人だから、だと思います。曲によって、短編小説のように色々な世界がある、というのもシコの魅力かもしれません。そんな世界を、少しでもお伝えできたら、と。

 

写真は、シコの語りと曲を、幾つかのテーマに分けて作品化したDVDシリーズのうちの2作品で、それぞれシコの作品の中でも「愛」と「女性」をテーマにしたものです。私が取り挙げるシコ・ブアルキも、ほぼそういったシコの側面をフィーチャーしています。シコは劇作家でもあり、脚本を書いたミュージカル/演劇作品も幾つかあるのですが、そういった作品で使われた曲も演奏していく予定です。という訳で、必然的に「ロマンチックでドラマチック」な楽曲が多くなりがちです、笑。

 

シコの詞を中心とした楽曲群は、もはやブラジル音楽の宝と言えるぐらい、素晴らしい作品で溢れています。

1960年代から長年「ブラジル人の心」を唄い、とても「ブラジル的」と言われる人ですが、近年特にその音楽性は、ブラジル音楽という枠だけでは括れないようになっている気がします。そんな素晴らしい曲達を、日本のブラジル音楽界のトップ7弦ギタリスト・尾花毅氏と、Jazz/Brasi/Worldと自由に行き来する個性的な人気ピアニスト永見行崇氏、そして抒情的かつエモーショナルな演奏で各方面から引っ張りだこのチェリスト平山織絵さんという素晴らしきメンバーと、「ここにしかない」シコ・ブアルキをお届けできればと思っています。

 

演奏する人々によって、様々に表情を変えるシコ・ブアルキの楽曲。ぜひぜひお聴き逃しなく!

 

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■2019/10/8(tue) 
"Canta Chico - シコ・ブアルキを唄う -"
@青山Zimagine

 

Kayo Kamishima(vocal)
尾花 毅(7弦guitar)
平山 織絵(cello)
永見 行崇(piano)

 
19:30open/20:00start
Charge: ご予約2,500yen/当日3,000yen

(+1drink order)

 

◆青山Zimagine(ジマジン)
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